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大正ロマンの香りを漂わせながら日本の洋菓子が普及し始めてきた大正4年に「サクライ」は創業しました。
以来、100年余りに渡り、日本の洋菓子業界に優れた製菓材料を提供し続けてきたのです。 「サクライ」の草創期、洋菓子は高級品として、あまり人々の口には入らず、また、戦時中は、物資統制により、その姿を消してしまいましたが、その後、進駐軍が運んできたアメリカ文化が日本に広がり、昭和20年代後半にそのブームを迎え、各地に洋菓子専門店が続々と誕生しました。しかし、本格的な洋菓子を作るには、まだまだ満足な材料もなかったのが現実でした。
昭和30年代に入ると、高度成長の波に乗って洋菓子業界も隆盛期を迎えましたが、輸入材料は枠が決められている上、値段も高く、とても洋菓子専門店の手に入るものではありませんでした。そこで私どもは、洋菓子シェフとヨーロッパに渡り、各地で様々な材料を我が目で確かめ、輸入。中でも“幻の酒”と言われていたキルシュワッサー(サクランボの蒸留酒)の輸入は、業界にとって衝撃的なことでした。この酒は、現在も洋菓子シェフの間で根強い人気を誇っています。
その後も世界中を駆け巡り、良い材料を探し出して、輸入するという姿勢は変わりません。『サクライ』の定評ある品揃えは、努力と信念が積み重なって確立してきたものなのです。
ディーラーは、ただ単純に商品を右から左へ売って利益を上げるという考えでは、今後の発展はありません。ディーラーに必要なものとして、倉庫・配送能力、金融機能、情報能力です。中でも、新製品の開発能力が重要です。素材の本質を見極め、いかに本物を探し出してくるか。そして、どう使うかまでユーザーに提案していくことが我々の仕事です。
平成4年10月1日に桜井源喜知商店から『サクライ』に社名変更しました。創業以来、100有余年。木でも100年たてば老木です。活力がなくなって、実も生らなくなります。栗は8年で切ってしまうほどですし、若い木でなければ、いい実は生らないのです。安定しているからと安心していては、企業の成長は止まってしまいます。優秀な人材を採用し、今までに蓄積した知識を伝え、能力を伸ばした若い人が新しい木を育てて、実を生らせて、『サクライ』を発展させて欲しいのです。
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